『ル・リアン』 ~新編集版~
処方された日から祈るような気持ちで薬を飲んで効果が出るのを待った。
しかし、2週間経っても耳鳴りは治まらなかった。
大きく聞こえる時と、ほとんど気にならない時と、色々な聞こえ方があったが、耳鳴りが消えることはなかった。
「精神面の影響も考えられますので、できるだけ気にしないようにしてください」
医者は前回同様、循環改善薬とビタミン薬を処方した。
薬の効果を感じられないこともあって、日が経つにつれて落ち込みが激しくなった。
音楽業界に身を置いている自分が耳鳴りに悩まされるなんて、どん底に落ちそうだった。
それだけでなく、不安で眠りが浅くなった。
深夜ふと目が覚めると、物音一つしない中で耳鳴りだけがひと際大きく聞こえるのだ。
反射的に両耳を手で押さえてしまうと、更に耳鳴りが大きくなった。
何度も寝返りを打って気分を紛らわせようとしたが、耳鳴りから逃れることはできなかった。
うつ伏せになって枕を抱えた。
う~!
喉の奥から込み上がる悔しさが枕カバーにしたたり落ちた。
あの野郎!
怒りに震えた。
誰かわからない見たこともない愉快犯を殺したいほど憎んだ。
そいつがわざと最大ボリュームにしたから、こんな酷いことになったのだ。
絶対許さない!
地獄に落ちろ!
目が覚める度に〈のっぺらぼうな愉快犯〉を殴り続けたが、
そんなことをしても耳鳴りが治るわけではなかった。
しかし、2週間経っても耳鳴りは治まらなかった。
大きく聞こえる時と、ほとんど気にならない時と、色々な聞こえ方があったが、耳鳴りが消えることはなかった。
「精神面の影響も考えられますので、できるだけ気にしないようにしてください」
医者は前回同様、循環改善薬とビタミン薬を処方した。
薬の効果を感じられないこともあって、日が経つにつれて落ち込みが激しくなった。
音楽業界に身を置いている自分が耳鳴りに悩まされるなんて、どん底に落ちそうだった。
それだけでなく、不安で眠りが浅くなった。
深夜ふと目が覚めると、物音一つしない中で耳鳴りだけがひと際大きく聞こえるのだ。
反射的に両耳を手で押さえてしまうと、更に耳鳴りが大きくなった。
何度も寝返りを打って気分を紛らわせようとしたが、耳鳴りから逃れることはできなかった。
うつ伏せになって枕を抱えた。
う~!
喉の奥から込み上がる悔しさが枕カバーにしたたり落ちた。
あの野郎!
怒りに震えた。
誰かわからない見たこともない愉快犯を殺したいほど憎んだ。
そいつがわざと最大ボリュームにしたから、こんな酷いことになったのだ。
絶対許さない!
地獄に落ちろ!
目が覚める度に〈のっぺらぼうな愉快犯〉を殴り続けたが、
そんなことをしても耳鳴りが治るわけではなかった。