『ル・リアン』 ~絆、それは奇跡を生み出す力!~  【新編集版】
 長崎にはラジオ局が2局あった。
 NHKがAMとFMを、民放がAMを放送していた。

 早速、音楽番組責任者に挨拶に行った。
 しかし、つれない反応が返ってくるばかりだった。
 というより、お払い箱状態だった。
 名刺さえ受け取ってくれない人もいた。
 とても嫌われていると感じた。
 冷たすぎる反応に心が凍った。

 レコード店はまだ店舗リストが届いていなかったので、様子見がてらアパートの近所にある店に挨拶に行った。
 すると、予想外のことを言われた。

「エレガントミュージック? 久しぶりだね。いつ以来かな……」と。

「えっ、前任者が伺っていないですか?」

 客で賑わうレコード店の主は頭を振った。

「前任者がいたのかどうか知らないけど、とにかく、お宅の担当者はしばらく見かけていないね」

 前任者は何をやっていたのだろうか? 
 ラジオ局では嫌われ、レコード店には顔を出していない。
 なんだそれ? 
 そんなことは会社から一切聞いていなかった。
 最低の地区を担当させられたと思うと、気が重くなってきた。
 これでは、一からではなく、ゼロ、いや、マイナスからのスタートだと思った。
 正座した太腿の上に重い石を置かれているような感じがした。

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