貴方と花火を
憂鬱
____花火のような恋をしたい。

そう思った。

「行ってきます」

ついこのあいだまで学校に行くのが楽しみだったのに、転校生がきてから憂鬱になった。

毎朝家に来てくいたあの人も、もう来てはくれないだろうし。

私がいくら貴方を想っても、この恋が叶うことはないのにね___
ほんと馬鹿みたい。

私、五十嵐 灯は同じ高校に通っている柊 涼平が好きだ。

このことは、同級生で親友の和泉 花織ぐらいにしか教えてはいない。

ましてや、あの女なんかには知られたくなかった。

あの女とは、涼平の想い人である漣 純花のことだ。

ああ、くだらないことを悲劇のように頭の中で語っていたら、もう学校に着いてしまった。

「おはようございます」

無気力に挨拶する。

涼平は明るい子が好きだと言っていたから、このあいだまで明るく挨拶をしていたのだが、純花が転校してきてから全てが変わってしまった。
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