ツカノマ・サマー

真夏くんが頬をほころばせた。

私もつられて笑ってしまう。



「……好きだよ」

「真夏くん……」



私は真夏くんを抱きしめた。

ぎゅっとしていると。

やっぱり心が落ち着く。



真夏くんも、優しく抱きしめ返してくれる。



「ねぇ、真夏くん」

「ん?」

「キスしてくれる?」



顔は見えないけれど。

真夏くんが小さく笑ったことがわかった。



「なんで笑うの」
と、わざと不機嫌な声を出すと、
「ううん。可愛いなって思っただけ」
真夏くんがご機嫌な様子で返事した。



またほんの少しお互いの体を離す。

目の前に真夏くんの顔がある。

左右の目が揺れた。



「真夏くん……、キスして」



呟くように言うと、真夏くんが少しだけ顔を傾けた。



(あ……、キスしてくれるんだ)



ドキドキしてくる。

胸の高鳴りって。

なんでこんなにも。

つらくて。

心地良いんだろう。
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