ツカノマ・サマー

休憩時間に、スマートフォンを見ていると。

真夏くんからメッセージが来ていた。



《今度のすみれちゃんの休みの日、会えることが楽しみ。その日はゴロポテコロッケ、買っておくね》



私は、
《一緒に買いに行く!》
なんて返事を送り、
《私も楽しみ!!》
と、すぐにもう一度送った。



カメラの前で。

自信が持てるようになったのは。



こんなふうに、私の味方でいてくれる存在が。

近くて。

確かなものだって。

信じられているからかもしれない。



既に始まっている映画の撮影でも。

背筋を伸ばして、参加出来ている。




その日の帰り道。

車の中で、福田さんが心配そうな顔をした。



「明日、あなたが嫌がっていたキスシーンの撮影があるんだけど」

「嫌がっていたって……、まあ、そうですよね」



思わず苦笑いしてしまう。



「あら、もういいの? 吹っ切れた?」

「いいんです。大切なキスは、ちゃんと大好きな人としましたから」
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