ツカノマ・サマー
エピローグ

「高野 すみれの映画、観た?」
と、電車の中でどこかの制服を着た女子高校生が話していた。



「観た! 超良かったよね!?」

「ほら、あのキスシーン! めっちゃキュンってしなかった!?」

「いやー、あれは最高でしょう!!」



私は顔を見られないように俯きつつ、
(ありがとう!!)
と心の中で叫ぶ。



「あんなに素敵なキスシーンってさ、本人も素敵な恋をしているから出来るのかなぁ?」
と、ひとりの女子高生が言う。



友達らしき他の子が、
「そうなんじゃない? だって素敵な恋を知らないと、あれは出来ないって!」
と言ったかと思えば、
「案外理想とか妄想かもよ。あんなに忙しいのに、高野 すみれが恋愛している時間なんてないっしょ!」
なんて言う子もいる。



「どうなんだろう〜?」
と、楽しそうに話しているのを見て。




私はニコニコが止まらなくなった。

今、顔を見られたら、ちょっとヤバい人に思われそうなくらい。
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