ツカノマ・サマー
「私のこと、嫌い?」
「そんなわけないよ」
じゃあ、好き? とは、聞けなかった。
その代わりに、
「じゃあ、泊めて」
と、言う。
「えっ!?」
真夏くんの目が大きく見開く。
ほんの少し、メガネがズレて下がった気がした。
「三日間でいいの。私をここにおいて!」
「な、何を言って……!?」
「同居して! 三日間でいいから!!」
これで頷く真夏くんではないことは、重々承知しているから。
私は、
「よしっ! 決まりね!! 三日間、よろしくお願いしまーす!!」
と、大袈裟に頭を下げた。
手に持ったままのアイスがとろりと溶けて指に垂れた。
「真夏くん、ティッシュ!」
「えっ、あ、はい!」
と、何枚か引き出したティッシュペーパーを貰い、自分の指とフローリングの床を丁寧に拭いた。
「……」
「何? すみれちゃん、まだ何かあるの?」
じっと真夏くんの顔を見ていた私に、多少ビビった様子の真夏くんが聞いた。