ツカノマ・サマー
「悩み事?」と、本気で心配してくれている表情だ。
黙って首を振ると、
「良かった」
と、笑顔をくれる。
「晩御飯、何が食べたい? 家にあるもので良ければ、ピラフとか作れるけど」
「えっ! 作ってくれるの!? 真夏くんが!?」
真夏くんは「そんなに驚く?」と、ニコニコしている。
「じゃあ、決まりでいい? すみれちゃん、好き嫌いなかったよね?」
「ない! なんでも食べる! お腹空いた!」
真っ青のエプロンをひょいっと首にかけて、紐を結んでいる真夏くんのそばで。
私はうっとりしつつ、
「何か手伝う!」
と、挙手して宣言した。
「あー、じゃあ、お願いしようかな?」
と、真夏くんはクローゼットからもうひとつのエプロンを取り出した。
すっきりした山吹色のエプロン。
ちょっと広げて、私に合わすように持つ。
「大きいかな?」
「これ、使ってもいいの?」
「いいよ。オレのだから大きかったらごめんね」