ツカノマ・サマー

「美味しいっ!」
と、正直に伝えると、
「本当? 無理していない?」
なんて、まだ少し緊張気味な真夏くん。



「美味しいよ!! 私、これ大好きっ」

「はぁ、良かったぁ」



そう言った真夏くんもひと口食べて、うん、うんと頷いている。



ふたりで食べて。

ふたりで後片付けして。

それだけのことだけど。



相手が真夏くんだという事実に。

私は浮かれていた。







ピコン。




「真夏くん、スマホ鳴ったよー」



後片付けも終わり、タオルで手を拭いていた時だった。

真夏くんはまだ手を洗っている最中だったから、
「ごめん、スマホ取ってくれる?」
と言った。



ローテーブルからスマートフォンを取って、真夏くんに渡す。

密かに嬉しかった。



(私にスマホを手渡しされても、真夏くんは嫌じゃないんだ)



スマートフォンなんて個人的な物じゃん。

画面を見られるかもしれないのに。

もしかしたら変にいじる可能性だってあるのに。



(信頼されているのかな?)
< 28 / 112 >

この作品をシェア

pagetop