ツカノマ・サマー
「美味しいっ!」
と、正直に伝えると、
「本当? 無理していない?」
なんて、まだ少し緊張気味な真夏くん。
「美味しいよ!! 私、これ大好きっ」
「はぁ、良かったぁ」
そう言った真夏くんもひと口食べて、うん、うんと頷いている。
ふたりで食べて。
ふたりで後片付けして。
それだけのことだけど。
相手が真夏くんだという事実に。
私は浮かれていた。
ピコン。
「真夏くん、スマホ鳴ったよー」
後片付けも終わり、タオルで手を拭いていた時だった。
真夏くんはまだ手を洗っている最中だったから、
「ごめん、スマホ取ってくれる?」
と言った。
ローテーブルからスマートフォンを取って、真夏くんに渡す。
密かに嬉しかった。
(私にスマホを手渡しされても、真夏くんは嫌じゃないんだ)
スマートフォンなんて個人的な物じゃん。
画面を見られるかもしれないのに。
もしかしたら変にいじる可能性だってあるのに。
(信頼されているのかな?)