ツカノマ・サマー
不安とミルクティー
「友達って、SNSで拡散しちゃうような人?」
真夏くんの友達のことなんだから、言葉に気をつけなくちゃと思いつつ、ちょっとトゲのある言い方をしてしまった。
「うーん……」
困った顔の真夏くん。
「拡散はさすがにしないとは思うけど……」
「けど?」
「すみれちゃんのファンだって、さっき言ってたから」
「……あっ、さっきの……、メッセージアプリの人? あきら、だっけ?」
「そう」
真夏くんは、
「断るよ、すみれちゃんに困ったことが起こらないように」
と、スマートフォンを操作しようとした。
「待って!」
「えっ?」
私は真夏くんをまっすぐ見て、こう尋ねた。
「短時間? 長時間?」
「えっ? ……あっ、貸していた本を返してくれるだけだから、多分すぐ帰るとは思うよ」
「じゃあ、私、その間この部屋のどこかに隠れていてもいい?」
私の申し出に、ぎょっとした様子で真夏くんは、
「えっ!? 隠れる!?」
と、心底驚いた声を出した。