ツカノマ・サマー
「あきらがいる時間、お風呂場かトイレに隠れておく! 外に出て、目立つのは避けたいし」
「いや、うん、そうだろうけど」
「大丈夫だよ、あきらに見つからない自信はあるよ!」
自分でも何故かはわからないけれど、昔からかくれんぼは得意なほうだった。
鬼になった子が私を見つけられないことはしょっちゅうだったし。
一度なんて、遊んでいた子の保護者まで手伝って、必死に私の隠れ場所を探す事態に発展したことがあった。
もちろん負けず嫌いだからといって、そんな事態になっても自分からは出て行かない私を、両親は怒ったけれど。
「でも」
と、真夏くんはまだ煮え切らない。
「お願い、そうさせて。そのほうがいい」
「……本当に大丈夫?」
心配そうな真夏くんに、私は大きく頷いた。
しばらくして、真夏くんがクローゼットからTシャツとスウェットパンツを出してきた。
「すみれちゃん、今日、これで眠れる?」
そう言って、私にそれらを差し出す。