ツカノマ・サマー
「あっ」
しまった、という顔をされても、もう遅い。
私は満足して、
「お風呂こっち? 入ってこようかな〜」
と、鼻歌混じりに部屋をあとにした。
お風呂から出てくると、真夏くんも入れ違いにお風呂に入って行った。
その間に自分のスマートフォンを取り出す。
福田さんから何度も連絡が来ていて。
その通知を見るだけで、申し訳なさから胃がキリキリした。
スマートフォンをローテーブルに伏せて置いて、私はテレビをつけた。
ちょうどドラマの放送があったので、しばらく眺める。
恋愛が主軸のお仕事ドラマで。
主人公が仕事でも恋愛でもピンチを迎えていた。
(私もいつか、こういうドラマに出られたりするのかな)
大人が主人公のストーリー。
私が大人になった時。
ドラマや映画の制作に。
まだ呼ばれていたならいいのにな。
うまくいっている今が。
ずっと続くとは限らないから。
(……ダメだ。いつもの不安が心の中に渦巻いてきた)