ツカノマ・サマー
その場にうずくまって。
心の中の不安と戦う。
「大丈夫、私は大丈夫……」
そう唱えながら。
「すみれちゃん?」
いつの間にかお風呂から上がってきていた真夏くんが、私のそばに居た。
「!!」
(聞かれた!)
頬が急激に熱を持って。
体中の血液が勢いよく流れていく感覚がする。
「あ、あの、違うの」
と、咄嗟に言い訳のような言葉が口から出る。
そのことに対しても、なんだか恥ずかしく思ってしまった。
「うん」
と、真夏くんは私の隣にそっと座る。
「なんでもないから、聞かなかったことにして」
「うん」
真夏くんは静かに頷いてから、私の頭を撫でて、
「すみれちゃん、紅茶でも飲む?」
と、優しく聞いてきた。
「……紅茶、淹れてくれるの?」
「ミルクティーにする? 牛乳ならあるよ」
そう言って、キッチンへ向かう真夏くん。
私はその後ろからついて行った。