ツカノマ・サマー
私が返事するより前に、私の手をひょいっと持って自分の体から浮かせて。
私のほうへ向き直る真夏くん。
正面から向き合うと、私の目をじっと見てから、そっと抱きしめてくれた。
私の鼓動が速くなる。
これって、真夏くんにも伝わるよね?
だってこんなにピッタリくっついているんだもん。
(恥ずかしいけど、でも、伝わっててもいいや)
私の気持ち。
鼓動にのせて、伝わったらいいのに。
「すみれちゃん、頑張り屋さんだもんね」
と、真夏くんが呟いた。
抱きしめたまま、私の頭をポンポンと撫でてくれる。
「いつも頑張っててすごいし、そういうところ尊敬だってしている」
「そんなことないよ」
と、私は答えたけれど、嬉しくて、鼻の奥がツンとして、涙声になってしまった。
「でもさ、ホッとひと息つくこともしてほしい。自分の体も心も、たまには休めてあげてね」