ツカノマ・サマー
真夏くんの服を着て。
真夏くんのベッドに入っている。
(なんか、急にドキドキしてきた……)
上体を起こして、すぐそばの床に敷いた布団に入っている真夏くんを見下ろした。
メガネを外していて、真夏くんのキレイな顔がよく見える。
(もしかしたら私なんかより、よっぽど芸能人顔かもしれないな……)
真夏くんは。
華やかで。
美しい顔だと思う。
だけど、本人にその自覚はないみたい。
そこがまた良いんだけど……。
真夏くんを眺めていたら、
「すみれちゃん?」
と、真夏くんが気づいた。
暗い部屋の中。
真夏くんが微笑んでくれていることがわかる。
「真夏くん、何かお話して」
「無茶ブリだなぁ」
「お願い」
真夏くんは少し考えて、
「すみれちゃんが生まれて、少し経った頃だったと思うんだけど」
と、話し出した。
「うん」
「母さんと、すみれちゃん家に遊びに行ったんだ。ほら、母さんとすみれちゃんのお母さん、仲良しだから」
「昔から仲良しだもんね」