ツカノマ・サマー
2日目

午前とあきら


朝、起きたら。

繋いで眠っていたはずの手が、いつの間にか離れてしまっていたみたいで、ほんの少しだけ寂しい気持ちになった。



真夏くんはまだ眠っている。

すぅすぅと、規則正しい静かな寝息が可愛い。



時計を見ると、朝の五時半過ぎだった。



(まだ早いな)



最近は仕事に行く前に、朝の散歩をしたくて早起きしていたから、その癖で早く目覚めてしまったみたい。



(映画の撮影の前に、もう少し筋力をつけたいからなぁ)



布団で眠っている真夏くんの寝顔を眺める。



長いまつ毛。

きれいな肌。

鼻筋もスッと通っている。



「……ん?」



真夏くんがぼんやり目を開けた。

目を擦りつつ、
「すみれちゃん、おはよう」
と、ちょっとだけ(かす)れた声で言う。



(わっ……!)



真夏くん、色っぽい……。



ドキドキしつつ、それがバレないように、
「おはよっ!」
と、わざと元気いっぱいに言って、布団の上から真夏くんに抱きついた。
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