ツカノマ・サマー
「わぁっ!」
真っ赤になる真夏くん。
「こら、すみれちゃんっ、ダメ!」
「えー、なんで!? 昨日だってハグして……」
真夏くんは首を振って、
「昨日は昨日! 今日は今日!」
と、訳のわからないことを言い出す。
少しムッとしてきたから、構わずぎゅうぎゅう抱きしめていると、
「あー、もうっ」
なんて上体を起こして、私のハグから逃げた。
「あんまり朝からドキドキさせないでよ」
真夏くんが、そう言った。
思わず、
「えっ?」
と、聞き返してしまった。
真夏くんが。
ドキドキ……?
嬉しくて。
頭の上にお花が飛んでいるんじゃないかと思った。
私がニヤニヤしていることに気づいたのか、珍しく真夏くんがむむっと表情を固くした。
「……朝ごはん、パンでもいい?」
なんて、むむっとした表情のままで聞いてくるから、余計に可愛く見える。
「いい! パンがいい!」
答えると、真夏くんは「わかった」と頷いて、やっとふんわり笑ってくれた。