ツカノマ・サマー



朝ごはんを食べ終わると。

真夏くんが部屋の掃除や、洗濯を始めた。

私は窓のそばに座って、真夏くんが置いている多肉植物の寄せ植えと、豆苗を眺めた。



「……初めまして」



小声で挨拶をする。



「真夏くんのこと、ここでずっと見守ってきたんだよね」



豆苗の葉の先を、指先で撫でる。



「ほんの少しの間、……束の間だけど、私もお邪魔します」



真夏くんの足音が近づいてきた。



「窓、開けるよ?」



カラカラと音を立てて窓を開けると、ベランダがあった。

窓に一度座るような姿勢になって、段差のあるベランダに出る。



「変わっているでしょ?」

「うん。こういうベランダ、初めて見た」

「オレもここに住んで初めて」



少ない洗濯物を干している真夏くんに、
「あんまりないんだね」
と、話しかける。



Tシャツとタオル類くらい。

下着とかは、もしかしたらお風呂場に干しているのかな。
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