ツカノマ・サマー

「もしかして、トイレ?」
と、あきらの声。



「トイレに誰かいるの?」




(あっ!! ドアに鍵、かけてない!!)




慌ててドアノブに手を伸ばそうとしたら。

ドアが開いた……!




黒いタンクトップにオーバーサイズのデニムパンツを合わせた女の人が、目の前に立っている。




「……あっ」
と、私は思わず声が出た。



目の前の女の人、あきらが。

目を大きく見開いて。



「えっ?」
ひと言呟いてから、
「高野 すみれ?」
と、呆然としている。




「お、おはようございます……」



「真夏の部屋に、高野 すみれ? なんで? なんで、高野 すみれが!?」



あきらの顔がだんだん興奮で赤くなってくる。



「あきら、お願いだから黙ってて」
と、真夏くんが私の前に立った。



背中に隠すように。

庇うように。



こんな時にでも、ときめいてしまう。




「真夏は、高野 すみれとどういう関係なの?」
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