ツカノマ・サマー

真夏くんは少し考えて、
「……うん、わかった」
と、玄関ドアに鍵を差した。



ゆっくりした動作で玄関ドアを開けた真夏くんの隣で、私の心の中では、少しの緊張感とわくわくした気持ちがとろりと混ざり合った。



「お邪魔しま〜す……」



玄関スペースに目を走らせる。



(恋人の気配は……、ない、よね?)



再確認して安心したあと、部屋の中に入って行く。

ワンルームのアパートで、入ると左手にキッチン、その奥に多分洗面室、隣はトイレかな?

まっすぐ進むとベッドとローテーブル、テレビがある。

真正面の窓のそばには多肉植物の寄せ植えと、豆苗が置いてあった。



「アイス食べよ?」
と、私は真夏くんに声をかける。



真夏くんは冷蔵庫を開けてペットボトルのジュースと、ガラスコップを二つ持って、それらをローテーブルに置いた。



「真夏くん、バニラが好きだよねー」
と、私はエコバッグからアイスを取り出す。
< 5 / 112 >

この作品をシェア

pagetop