ツカノマ・サマー
真夏くんは少し考えて、
「……うん、わかった」
と、玄関ドアに鍵を差した。
ゆっくりした動作で玄関ドアを開けた真夏くんの隣で、私の心の中では、少しの緊張感とわくわくした気持ちがとろりと混ざり合った。
「お邪魔しま〜す……」
玄関スペースに目を走らせる。
(恋人の気配は……、ない、よね?)
再確認して安心したあと、部屋の中に入って行く。
ワンルームのアパートで、入ると左手にキッチン、その奥に多分洗面室、隣はトイレかな?
まっすぐ進むとベッドとローテーブル、テレビがある。
真正面の窓のそばには多肉植物の寄せ植えと、豆苗が置いてあった。
「アイス食べよ?」
と、私は真夏くんに声をかける。
真夏くんは冷蔵庫を開けてペットボトルのジュースと、ガラスコップを二つ持って、それらをローテーブルに置いた。
「真夏くん、バニラが好きだよねー」
と、私はエコバッグからアイスを取り出す。