ツカノマ・サマー

「じゃあ、初めて作ってくれたの?」

「えっ、うん」



私の返事に、真夏くんは更にニコニコして。



「そっか」
と、嬉しそうにおにぎりを食べた。



私もおにぎりを手に取り、ひと口食べる。



「っ!!」



すっごい塩辛い。

お塩、振りすぎたよ、絶対。



(こんなにまずいのに)



真夏くん、嬉しそうに食べてくれている。

それだけで胸がいっぱいになった。




食べ終わった時。

真夏くんが「ごちそうさまでした」と言ったあと、私の目を見て、こう言った。



「作ってくれてありがとう」



ときめきと嬉しさで。

頬に熱が集中していくのがわかった。








一緒に片付けをしたあと。

真夏くんが、多肉植物をまた眺めていた。

私もそばに行って、同じように眺める。



「オシャレだね? 寄せ植えって」

「すみれちゃんはこういうの、好き?」



うーん。



「わからない」



正直に答える。



「……素直だなぁ」
と、真夏くんはまた、嬉しそうに笑った。
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