ツカノマ・サマー

「真夏くんは好きなんでしょう? 植物大好きだもんね?」

「うん、好き」



(えっ)



突然のその言葉に。

私は自分がものすごく赤面している自覚があった。



(違う、違う! 植物が『好き』って言ったんだから!)



赤くなる必要なんてない。

でも。

だけど。



真夏くんに『好き』って言われたみたいで。

ときめきが身体中にどっと分泌された。



「すみれちゃん」

「えっ! あ、はい、何!?」

「退屈していない? 大丈夫?」

「えっ!? 全然! 退屈とか思ってないよ」



やっぱり私には、植物への興味はあまりないけれど。

植物を眺めている真夏くんを眺められるだけで。

宝物みたいな時間になる。



「今朝ね」
と、真夏くんが話し始めた。




「今朝ね、豆苗や多肉植物にすみれちゃんが挨拶しているのが聞こえてきて」

「えっ!! 聞いてたの!?」

「うん、ごめんね」
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