ツカノマ・サマー
真夏くんが丁寧に頭を下げて挨拶したので、私も「こんにちは」と、頭を下げた。
「あらっ、すっごい美人さんといるじゃない!」
というおばさんに、私は片手を振って否定した。
「犬飼くんは真面目一筋、いや、植物一筋だと思っていたけれど、こんなにキレイな恋人がいるのね。おばさん、安心したわー」
ケラケラ笑って言ったおばさんの『恋人』の言葉に、私達ふたりで「いや、その」とか、「あの、それは」とか言って、モゴモゴしてしまう。
その反応におばさんには、
「何よぅ、可愛いんだから!」
と、余計に笑われてしまった。
「……すみれちゃん、コロッケはどれがいい?」
真夏くんがコホンと咳払いしたあとに、尋ねてくれる。
「ポテトコロッケ、エビクリームコロッケ、カニクリームコロッケ、カレーコロッケ、……ゴロポテコロッケ?」
「あぁ、そのゴロポテコロッケっていうのはね」
と、おばさんが説明してくれる。