ツカノマ・サマー
「多分、秋は木々が赤く染まってキレイだろうし、冬は冬で雪景色が楽しめるんじゃない?」
「えっ……?」
(それって、つまり……?)
「……また来てもいいの?」
真夏くんはきょとんとして、
「またいつでも来てくれていいよ?」
と、言った。
(それって、どういう意味で?)
確かめたい気持ちになったけれど、やめた。
せっかく素敵な景色の中で。
素敵な心地になっているのに。
水を差すようなことはしたくない。
「暑いけど、気持ちがすっきりする景色だね」
と伝えると、
「気に入ってくれるって思ってたよ」
なんて真夏くんが嬉しそうに笑ったから、体の中に流れている血液全てが上機嫌に歌っているみたいに、私の全部が嬉しくてたまらなかった。
「でも、暑いね」
真夏くんがTシャツの襟元を、パタパタとあおいでいる。
私もほんの少しだけキャップをずらした。
その時。
髪の毛が風に遊ばれて、顔にはりついた。