ツカノマ・サマー

その場にいた全員が、笑いを堪えきれず噴き出した。



「えっ! おかしいかな!? でも、絶対に私、拡散とかしないから!」



焦る女性に、私は、
「ありがとうございます」
と言って、女性のスマートフォンを指差す。



「撮りますか? 私で良いなら……」

「えっ! じゃあ、みんなで良いですか!!」



興奮した様子の女性は、迷わず真夏くんにスマートフォンを渡し、
「すみません、撮ってもらえます?」
と、輝くような笑顔を見せた。



真夏くんがにこやかに写真を撮ってくれる。



「私達、ここで会ったことは絶対に言いません」

「そんなことくらいでしか高野さんの力にはなれないけれど、頑張ってください」




私は、
「充分です、ありがとうございます」
とお辞儀して、真夏くんとかけ足でアパートに戻った。






真夏くんの部屋に帰って。

スマートフォンを改めて見ると、福田さんからの連絡がまた何十件も通知される。
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