ツカノマ・サマー
でも私はね。
仕事なら、乗り越えたいの。
雑誌の中や、テレビの中、スクリーンの中。
どんなところでも。
いつだって『その中』にいる人でいたい。
観客側より、創作側でいたい。
『その中』こそが、私の世界であってほしいの。
(だけど、私の初キスだけは……)
わがままだって思う?
自分勝手だって思う?
(真夏くんだけには、理解されたい)
だから怖いんだよ。
他の誰よりも。
真夏くんっていう存在が。
私の感情を全部、持っていくんだから。
「……すみれちゃん」
真夏くんが私の目をじっと見つめた。
「オレがすみれちゃんのことを嫌いになることなんかないって、すみれちゃんに信じてほしい」
「……」
「弱くっても、泣いてても、オレはすみれちゃんのことを嫌いになんかならないからね」
「……なんで?」
真夏くんを見つめ返した。