ツカノマ・サマー
「なんで、そんなに優しいことを言ってくれるの?」
「……」
なんでこんなふうに優しくしてくれるの?
私、ただの幼馴染みだよ。
「こんなふうに優しくされたら、勘違いしちゃうよ」
真夏くん。
真夏くんにとって、私って何?
(そんなこと、怖くて聞けない)
自分の臆病に、心底嫌気がさす。
(こんなので告白なんか出来るのかな?)
不安に押し潰されそうになるなんて。
(恋にも仕事にも、私、怖がってばかりだな)
本当はまだ不安が体中にモヤモヤまとわりついていたけれど、
「……真夏くん、もう大丈夫になってきた」
と、嘘をついた。
真夏くんは、
「良かった」
と言って、体を離そうとした。
その時。
「ごめん」
と、呟いた真夏くん。
「?」
「もう少しだけ、このままでいてもいい?」
「えっ?」
そのまま、私の体をぎゅうっと抱きしめた。