ツカノマ・サマー

ちゃんと告白できるかな。

キス、してくれるかな……。



(振られてしまったら、元も子もないんだけど)



そう思うと、心配になってきた。



(告白をしないなら、振られることもないんだけどなぁ)



想いのこもったキスじゃなくなるけど。

私の初めてのキスの相手が真夏くんになれば。



(それだったら、私、この先も頑張ることができるかな)






「すみれちゃん?」



真夏くんに呼ばれて、我に返った。



「あっ、ごめん。考え事してた」
と、私は両手を合わせて、「ごちそうさま」を言い、真夏くんと食器を片付ける。



真夏くんが部屋の掃除や洗濯をしている間。

私は窓のそばの多肉植物の寄せ植えと豆苗に話しかけていた。



「真夏くん、嫌がるかな?」



もちろん問いかけても、返事は返ってこないけれど。

語りかけていると、なんとなく落ち着く気がする。
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