【掌編】かわりもの
自己過大評価に聞こえたら謝る。私は……別にいい加減に執筆しているわけじゃない。
何なら、自分の睡眠時間も、友達との時間も、家族との時間も、何もかも削って、スキマ時間さえ執筆にあてていた。
ほんのわずかでも時間があったなら、私は執筆をした。
それに、私が執筆しているのは、資金集めと読む楽しさを届けるためだ。
資金集め……何の、というと、猫の治療費や家族との娯楽や家具代。
我が家では雌猫を飼っているのだが、今年で十五歳のおばあちゃん猫なのだ。
猫の治療費は人間の治療費よりも遥かに高く、更に人間のような保険が効くわけでもない。老いた猫たちのお世話が、どれだけ大変なのかも知っている。しかも、いつ体調を崩すのかもわからない。そういう意味では怖い猫たち。
そういう猫の治療費に、少しでも自分の収入をあてられたら……と思い、こうして必死で書いている。
また、読む楽しさを届けるという点でも、死ぬ気で執筆してきた。
私の周りには、本好きが一人もいなかった。小学校では「小説係」として活動していた。
大丈夫か……と思いきや大反響。
その嬉しさを知ったため、私は本気で執筆を始めたのだった。