子犬系男子は待てを知らない
「俺のクラスメイトの藍原璃子ちゃんだよ。ほら、校門前で一緒にいた……」
「あー! さっきと違う格好だから気づかなかったわ」
驚いたように声を上げると、その人──桃園さんはこっちにまあるい瞳を向けた。
「藍原さんっ」
「は、はい」
「よかったら、私とも仲良くしてくれますか?」
「へっ」
耳に届いた意外な言葉に、素っ頓狂な声を洩らしてしまった。
それはそうと、こてんと首を斜めに傾け上目遣いで見つめてくるのはかなりの重罪だ。
やっぱりこの子、すっごく可愛い。
「……もちろん」
「よかったぁ。この辺りに女の子の知り合いいなくて寂しかったの」
あたしがおそるおそる返事すると、彼女は愛らしく微笑み、あたしの手をとってぎゅっと握りしめた。