子犬系男子は待てを知らない
「だって、ウォーキングの邪魔しちゃ悪いもの。ね? 藍原さん」
「……あー、あははは」
そういえば自分でそういう設定にしたんだった……。
「あの、美織ちゃん……腕」
「んーなに? いや?」
「……そういうわけではないけど」
なにこれ。
「ならこのままでいいよね」
胸の奥がざわざわして気持ち悪い。
…………。
「じゃ、じゃあね!」
あたしは声を張り上げて言うと、逃げるように駆け出した。
「璃子ちゃん!」