子犬系男子は待てを知らない


「今日サンドイッチだからお箸ないんだった……」


そっか。

それなら。


「雪平くん、あーん。……なーんて──」


ぱくっ。


わっ、え!?

たっ……食べた!


「ザ・豆鉄砲食らった鳩みたいな顔ね」


愛花に指摘されはっとなる。

でもびっくりもするよ。

完全に冗談のつもりだったんだから。


雪平くんて意外と大胆というかなんというか……。

そーゆーの全然気にしないタイプ?



「うん。おいしい!」

「本当? よかったぁ」


驚きの最中、モグモグと満足気に食べる雪平くんの姿に安堵する。

やっぱり、誰かに美味しいって言ってもらえるのって嬉しいなぁ……。


「へぇ。そんなにうまいなら俺もひとつ……」


パシッ。


「あんたはダメ」


我ながらナイス反射神経。

あたしは後ろから伸びてきた手を瞬時に掴み、低く言い放った。

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