子犬系男子は待てを知らない
「あら旭くん」
「おー関口。はよ!」
ついさっき教室に入ってきたらしい愛花が、不思議そうにあたしと旭を見比べた。
「……浮気?」
「……はい?」
「雪平くんにいーつけてやろーっと」
言いつけて……って、まさかそういうこと!?
フフフと悪魔の笑みを見せる愛花を、あたしは慌てて制止する。
「違う違う、旭はそんなんじゃないし、雪平くんだって……!」
やめてよ、と言わんばかりに早口になるあたし。
そんなあたしを見て、愛花はやれやれとため息をついた。
「いつまでもそんなことばっか言ってると、痛い目見るわよー」
「……っ」
「昨日の子、〝雪平くん大好き〜♡〟って感じだったし」