子犬系男子は待てを知らない


「で、でも、あたしのものでもないし! 取られるもなにも……」

「はぁ」


あたしが脳内をかき消すように言うと、今度は大きな大きなため息が一つ落とされた。


「私がどうこう言うことじゃないんだけど、後悔しないよーにね」


むっ。

なによ、愛花のやつ。


「だからっ」

「んで、結局好きなの? 雪平のこと」

「なっ」


ぼっ。


「違う違う!」


なんで熱くなるのあたし!


旭も旭よ。

さっきまで黙ってたくせに、急に割り込んできて。

そりゃあ、あの子は誰なんだろーとか、ちょっとは気になるけど⋯⋯好きとか──。


「そーゆーんじゃないんだってば!」

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