子犬系男子は待てを知らない


なんでだろ。

上手く声が出せない。


「ならいいけど。……絶対、好きになっちゃダメだよ」

「……っ」


な、にそれ……。

力強い瞳に引き寄せられそうになり、咄嗟に背を向けた。

──のに。



「俺以外の人……好きにならないで」


後ろからぎゅっと抱きしめられ、囁くような声が耳を掠めた。


「なっ、なんでこんな……」

「璃子ちゃんが逃げるからだよ」

「っ別に、逃げようとなんか……」


どうしよう。


熱い。

身体中が熱い。


なんなの、これ──……。

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