子犬系男子は待てを知らない


「ちぇっ、雪平はいいのに何で俺はダメなんだよ」


(あさひ) 佑成(ゆうせい)

不満を絵に描いたような口の尖らせ方をする彼は、あたしの中学からの知り合いだ。


制服の中に着たパーカーがよく似合う典型的なスポーツ万能お馬鹿タイプで、クラスのムードメーカーだったりする。

あたしの知る限りずっと特定の相手はいないらしいけど。

昔からやたらとモテるのよね、この男。



「んー……なんとなく?」

「んだよ、それ。ケチ」


拗ねたように言うくせに。


「佑成〜なにしてんのー? お前もこっち混ざれよ」

「あ、わりぃ。今行くってー」


ほら。

すぐ新しい〝楽しみ〟に飛びつく。


「じゃ、また気が向いたら俺にも〝美味しい手料理〟わけてくれよ、藍原?」


……もう。

ほんと、口が上手いんだから。


「はいはい。……あ、待って。髪にゴミついてる」

「……おぉ、サンキュ」


ニィ、と笑った背中を見送るように、あたしはひらひらと手を振った。


旭 佑成は人が大好き。

色んな人と絡んで、騒ぎたい。

そういうやつなんだ。


「ごめんね〜みんな。アイツほんと──」

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