子犬系男子は待てを知らない
『俺以外の人……好きにならないで』
あの日から雪平くん見ると変な気持ちになるし、なーんか落ち着かないし、もやもやするし。
なんとなく、気まずいんだ。
ずっとずっと気になってるあの子のことだって。
誰なの? って、普通に訊けたらいいのに。
それもなんだか訊くに訊けなくて……。
──って、だめだめ!
あたしの個人的な感情でこんなのよくないわ。
何とか頭を正常に戻し、あたしは雪平くんがいるはずの剣道場に足を進めた。
***
んーと、雪平くんは⋯⋯。
いた!
剣道場について間もなく、あたしは発見した〝雪平〟の文字に目を輝かせた。