子犬系男子は待てを知らない
お面を着けてる人が多いから見つけにくいかもと不安だったけど、名札があって助かった。
そんな雪平くんは今、鈴木くん? って人と対戦してるみたい。
雪平くんがその鈴木くんに面を決めると、ぶわっと歓声が沸き起こった。
⋯⋯すごい。
初めて見たその動きは、可憐そのもの。
一瞬の出来事のはずなのに、何度も頭に蘇っては鮮やかに脳を揺さぶる。
ここに来た時、出入口の前の方にやたら女の子たちが集まってるな〜とは思ってたけど、その理由が今わかった。
みんな、雪平くん目当てなんだ。
当の本人はというと集中してるみたいで、こっちには全く目もくれないけど。
……これは人気も出るよなぁ。
なんて、思っちゃった。
誰がどう見てもかっこいいんだもん。
よく考えれば、そんな人があたしを好きって言ってくれてるんだよね……。