子犬系男子は待てを知らない
「璃子ちゃん! どうしたの?」
パタパタとこちらへ近づいてきた雪平くん。
ぱああと明るい表情を見せる彼に、あたしはついこんなことを思ってしまう。
⋯⋯なんか、飼い主を見つけた子犬みたい。
さっきまでは〝かっこいい〟って言葉がぴったりだったのに、今は完全に〝かわいい〟になっている。
「これ、教室に忘れてたよ」
「えー、ありがとう!」
「いえいえ!」
あたしが紙袋を渡すと、雪平くんは「全然気づかなかった」と言って受け取った。
⋯⋯なんだあたし、普通に話せてるじゃん。
「じゃあ」
ちょっとホッとして、そのまま帰ろうとしたそんな時。