子犬系男子は待てを知らない


ぎょっ。


「な、なに雪平くん?」


じーっと不思議そうな目がこちらを見ている。


「や、旭くんと藍原さんってすごく仲良かったんだなって思って」

「あー……」


あんなに絡んできたのは、高校入ってあんまりなかったっけ。



「旭はね、あたしと愛花と同じ中学だったの」


たしか中2の時に日直が同じになったことがきっかけで、旭とはよく喋るようになったのよね。


〝藍原〟と〝旭〟

出席番号1番の苦しみを共感し合える、言わば〝戦友〟のような存在で。

仲良いって言われたら、そうなのかな?

『すごく仲良い』ってのはちょっと違う気がするけど。



「……ほんとに、それだけ?」


……え?


「うん。よね、愛花?」

「んー?」

「……愛、花?」


そうそう! なんて続けて言ってくれる。

そう思ってたのに。

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