子犬系男子は待てを知らない


どういうこと?

頭が回らない。


今理解できるのは、聞こえる声がいつもより低くて、見える表情がいつもより鋭いってこと、それだけ。


「あんなことされたら勘違いしちゃうんだけど」

「あんなことって⋯⋯?」


──トン。

おでこに何かがぶつかったかと思えば。


「こんなこと」


視界が雪平くんでいっぱいになっていた。


ドッ、ドッ。

激しく動く鼓動。


「近い、ですね⋯⋯」


そう、近いのだ。

< 132 / 352 >

この作品をシェア

pagetop