子犬系男子は待てを知らない
どういうこと?
頭が回らない。
今理解できるのは、聞こえる声がいつもより低くて、見える表情がいつもより鋭いってこと、それだけ。
「あんなことされたら勘違いしちゃうんだけど」
「あんなことって⋯⋯?」
──トン。
おでこに何かがぶつかったかと思えば。
「こんなこと」
視界が雪平くんでいっぱいになっていた。
ドッ、ドッ。
激しく動く鼓動。
「近い、ですね⋯⋯」
そう、近いのだ。