子犬系男子は待てを知らない


***



「おはよー」


あのあとあたしはどうやって家に辿り着いたんだろう。


気づけば翌日の朝を迎えてて。

気づけば制服を着て自分の席に座ってた。


……はぁ。

どうすればいいんだろう。


さっきからあたしの心はずっと、そわそわと落ち着かないでいる。


それもこれも、全部昨日のアレのせいだ。

あの、保健室での出来事の──。



「やっほー、璃子」

「ぎゃ! あっ、愛花おはよ!」

「……なに? どした?」


ぎくっ。


「いやー、なんでも」

「変なの。それより早く着替え行こ? 1時間目体育でしょ」

「ああ、うん」


そうだった、そうだった。

あたしは急いで体操服の入った袋を取り出し、空き教室へ向かった。

< 134 / 352 >

この作品をシェア

pagetop