子犬系男子は待てを知らない
***
「おはよー」
あのあとあたしはどうやって家に辿り着いたんだろう。
気づけば翌日の朝を迎えてて。
気づけば制服を着て自分の席に座ってた。
……はぁ。
どうすればいいんだろう。
さっきからあたしの心はずっと、そわそわと落ち着かないでいる。
それもこれも、全部昨日のアレのせいだ。
あの、保健室での出来事の──。
「やっほー、璃子」
「ぎゃ! あっ、愛花おはよ!」
「……なに? どした?」
ぎくっ。
「いやー、なんでも」
「変なの。それより早く着替え行こ? 1時間目体育でしょ」
「ああ、うん」
そうだった、そうだった。
あたしは急いで体操服の入った袋を取り出し、空き教室へ向かった。