子犬系男子は待てを知らない


***



「はぁ〜疲れたぁ」


今日の体育はグラウンドでサッカーだった。

だからもう、走り回って足は限界。

授業は終わりのチャイムが鳴る5分ちょっと前に終わって、今はその足をなんとか動かして手洗い場へ向かっている。


「あんたサッカー好きだっけ?」


ちょうど手洗い場の前に着いた時、愛花が言った。


「んー、特別好きってわけじゃないけど。勝負事はどうしても本気になっちゃう性分なもんで」


……ってのは、半分だけ。

もう半分は別。

今日は目の前のことに集中してないと、余計なこと考えちゃうんだもん……。


「ふっ。さっすが」

「まあね〜」


そう言って手をタオルで拭いて、靴箱へ向かおうとしたのに。


「「……あ」」


ドクン! と大きく心臓が跳ねて、あたしは次の一歩を踏み出せなくなってしまった。


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