子犬系男子は待てを知らない
「ああ……璃子の鬼のオフェンス、二人にも見せたかった〜」
「ちょっ、は?」
いきなり何言って……!
「華麗なドリブルにシュート。果敢に攻める強気な姿勢……」
「もう!」
恥ずかしいからやめてってば! とあたしは愛花の肩をペシペシ叩く。
「えー、それは見たかったな」
「俺も」
「……や、見なくていいです」
まったく、愛花のせいで……。
「ん? 雪平くんどしたの、その腕」
苦笑いを浮かべた後、チラリと隣の彼女を睨みつけた時だった。
その指が差した先を見た瞬間、ドキッとせずにはいられなかった。
ガーゼ。
昨日あたしが手当したままだ。
「あー、これ。昨日部活でちょっと」
「怪我?」
「うん。思ったより腫れちゃってさ。でもすぐに手当してもらったから大丈夫。……ね?」
えっ!
覗き込むようにして雪平くんがこっちを見たのと同時、ぶわっと顔が熱くなった。