子犬系男子は待てを知らない
「え、なに? どういうこと?」
「やっ、たまたま、偶然そういうことになって」
「は?」
妙に早口になる。
どうしよう。
ドキドキがおさまらない。
というか、
昨日のこと思い出しちゃって、雪平くんの顔、まともに見れないんだけど……。
「璃子ちゃん……?」
ひぃ!
お願いだから、今はあたしのこと見ないで──。
「あなたたちー! まだそんなところにいたの?」
「せ、先生!」
振り返ると立っていたのは、女子の体育の長嶺先生だった。
「次の授業間に合わなくなるわよー」
「やばっ」
「急ぎます!」
なんだかわかんないけど、助かった気持ちになった。
だってあのままだったらあたし、絶対おかしくなってたもん……。