子犬系男子は待てを知らない


──キーンコーンカーンコーン。


そうして、休み時間スタートの合図が鳴る中、靴箱まで全力疾走したあたしたち。

なんとか平常心を取り戻したあたしは、サッカーで酷使した足に更にムチを打ち、階段を駆け上がる。

そして3階まで上がって来たところで、誰かがあたしの肩を軽く叩いた。


「璃子ちゃん、手出して」


隣から聞こえてきた、小さな声。

えっ? と不思議に思いながら、ゆっくり右手を差し出す。


「昨日のお礼。……みんなには内緒ね」


なんて口許に人差し指を当てながら、悪戯っぽい表情を見せたのは、雪平くん。

するとすぐ、手のひらの上にコロン、と小さななにかが転がった。

これ……。

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