子犬系男子は待てを知らない
「やっぱなんでもない!」
「そーおー?」
「そうそう!」
なんて言ってみるけど、やっぱり右の手に感じる熱は隠せない。
あたしがおかしかったのも、全部このせい。
答えなんて既にわかりきってたはずなのに。
ただ、認めようとしなかっただけ。
あたしはいつの間にか、
もうとっくに──。
「ほら、中入るよ」
不服そうな背中を押しながら教室に入る。
それからあたしは、もらったばかりのキャンディを口の中に転がした。
「甘⋯⋯」
──雪平くんのこと、好きになってたんだ。