子犬系男子は待てを知らない
「はぁ……」
これを上らなきゃなんないわけね。
立ちはだかるそれを前にし、足が止まった。
図書室は5階にある。
1年生の教室は3階だからまだマシだけど、それでも2階分上らないとたどり着けない。
……よっし。
そう、気合いを入れて本を抱え直そうとした、その時──。
「……っ?」
急に腕が軽くなった。
と、思ったら。
「手伝うよ」
聞こえてきた声にあたしは一瞬言葉を失った。