子犬系男子は待てを知らない


知らなかった。

二人が中学の同級生だってことも、

雪平くんが引っ越ししてたってことも。


初めてだらけの情報に驚きを隠せないまま、あたしはゴクリと喉を鳴らして上目遣いに見た。


「……む、昔、付き合ってたとかじゃ」

「え?」

「なんかその……お互い下の名前で呼び合ってるし、親しげな感じだったし、そうなのかなぁって」


それに、〝元カノかも〟なんて旭が言うから。

あたしも、もしかしたらって思っちゃったわけで……。



「……あー」


な、なに?

緊張がピークに達したその時、いきなり髪をぐしゃっとした雪平くん。

かと思えば。

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