子犬系男子は待てを知らない

……なんだ。元カノとか、そういうんじゃなかったんだ……。


よかった。

そう、ドキドキの裏でほっとするのを感じた時。


「でもまさか、璃子ちゃんにまでそう思われてたとはな」

「え？」

「美織ちゃんてあんな感じだから、昔からよくみんなに誤解されちゃうんだ」


……ん？

あたしはぱちぱちと大きく瞬きをした。


もしやこの男、あれほどまでの熱烈なアプローチを受けても尚、向けられた好意に気づいていない……？


いや。有り得る。

雪平くんなら、大いに頷ける。


あまりに鈍感すぎる彼になんとも言えない気持ちになる中、次いで耳に届いた声があたしの心臓をドキリと鳴らした。